何かとニュースで取り上げられることの多いセクハラ問題。自分としては気軽なコミュニケーションや相手をおだてたつもりでも、受け手が不快に感じた場合、ハラスメントとして問題になってしまうこともあります。
具体的なコミックの事例を参考に、ハラスメントとなってしまう状況について考えていきましょう。
以下『シャトルアイズ』の一場面のように、性的な意図なく単なる興味関心や相手をおだてるために「筋肉を触らせてください」とお願いすることは日常的によく見聞きするかと思います。
しかしたとえ性的な意図はなく、相手に敬意を示すための発言・行為であっても、相手(や周囲の者)が不快に感じたなら、セクハラと判断される場合もあります。
これは、相手(受け手)やこちら(行為者)の性別に関係なく言えることです。相手が男性でこちらが女性の場合に、その男性をおだてる意図で相手に対して「筋肉を触らせてください」と言ったとしても、すべての男性が喜ぶわけではないので、相手の男性が不快に感じた場合はセクハラと認定される場合もあります。
また、筋肉以外でも、例えば胸の大きな女性に対し、胸が大きくない同性である女性が「良いなー、〇〇さんは胸が大きくて。ちょっと触らせてよ」と自分を下げ、相手を立てる意図で言った発言でも、やはり相手(や周囲の者)が不快に感じた場合は、セクハラと判断される場合があります。
もちろん、そういった言葉がほめ言葉として受け取られたり、筋トレや美の追求の励みになったり、自分ではコンプレックスに感じていたことを強みに感じられるきっかけになったりする場合も多々ありますので、発言する場合は相手のパーソナリティや自分と相手との関係性、周囲にそういった言動を不快に感じる人がいないかなどを考慮するようにしましょう。
※厚生労働省は、セクハラ該当性の判断について、発言や行為を受けた労働者がどう感じたかという点を重視しつつも、平均的な労働者の感じ方を基準とすべきとの考え方を示しております。すなわち、相手が不快に感じているか不明な場合でも、平均的な労働者であれば苦痛に感じる発言や行為であれば、セクハラに該当する可能性があります。よって、相手のパーソナリティや自分と相手との関係性は考慮しつつも、この相手であれば性的な言動をしても大丈夫だろうと安易に判断することは控えるべきです。
最近は男性に対してもほめ言葉として「かわいい」という表現を用いることがありますが、状況や相手との関係性によってはセクハラと判断されてしまう場合もあります。
上の『ジャガーン』のワンシーンのように、「かわいい」と言われて喜ぶ方もいれば、いやらしい目で見られた、性的な対象として意識されてしまった、と不快に感じる方も多々います。
また、以下『SPY×FAMILY』のワンシーンのように、状況に応じては、この人は部下を中身ではなく外見で評価しているのか?と不信感を持たれてしまう場合もあります。
上で紹介した「〇〇触らせて」、「かわいい」以外にも、「筋肉すごいですね!」、「スタイル良いですね!」などの容姿に関する褒め言葉はいくつもありますが、それらの発言がNGというわけではありません。
あくまで「相手や平均的な労働者が不快に感じるかどうか」という点を考慮することが重要で、特に職場などにおいては、言われた相手が不快に感じなくても、周囲にいる人がその発言を聞いて不快になってしまった場合は(そしてそういったやり取りが頻繁に行われた場合は特に)、セクハラと判断される場合もあります。
ですので、相手や周囲の人はこういうことを言われてどう感じるか?、という観点を忘れず、コミュニケーションを図っていっていただければと存じます。
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