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今回は、2023年に有罪判決が出た陸上自衛隊の強制わいせつ事件を題材に【職場のセクハラ「そんなつもりはなかった」は通用しない!防止策は?】と題してお届けします。
2023年12月27日、陸上自衛隊の自衛官だった五ノ井里奈さんに無理やりわいせつな行為をしたとして、強制わいせつの罪に問われていた元上司の隊員3名は、懲役2年・執行猶予4年の有罪判決が確定しました。
事件の詳細として、2021年に元上司の隊員3名が、宴会会場で五ノ井さんを押し倒して無理に体を触る、陰部を押し付けるなど性行為を模した行為をしていました。事件が起きた際、周りには十数人の同僚がいたものの、誰もその行為を止めず、五ノ井さんを笑っていたと報告されています。
五ノ井さんは被害について上官に報告したものの、訴えは退けられてしまいました。その後、被告3名は強制わいせつで書類送検されましたが、不起訴処分に。やむなく五ノ井さんが陸上自衛隊を退職し、実名を出してSNSで訴えたことから、今回の事件が世間に広く知られることになりました。
元上司の隊員3名が「笑いを取るためにやった」と軽い気持ちでした行動は、強制わいせつと認定され、ようやく2023年12月に元上司の隊員3名の有罪判決確定に至ったのです。
厚生労働省では、セクシュアルハラスメントの定義を下記のように表現しています。
職場(※1)において行われる、「労働者」(※2)の意に反する「性的な言動」に対する労働者の対応によりその労働者が労働条件について不利益を受けたり、「性的な言動」により就業環境が害されること。
【引用元】
厚生労働省「職場における・パワーハラスメント対策・セクシュアルハラスメント対策・妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!」令和5年11月作成より
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001331008.pdf
※1 職場…事業主が雇用する労働者が業務を遂行する場所
※2 労働者…正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規雇用労働者を含む、事業主が雇用する全ての労働者
実際に被害を受けた五ノ井さんは退職をしており、まさに就業環境が害されたと言えます。今回の事件では強制わいせつとして認定されましたが、その根底にあるセクシュアルハラスメント行為は職場で働く人々にとって大きな問題をはらんでいるのです。
五ノ井さんの職場である陸上自衛隊は、組織内階級や職位の上下関係が明確であり、下位の人間からは言い出しづらい環境であったかもしれません。
それでも、組織全体で職場のセクシュアルハラスメントについて正しい知識・理解があれば、笑いを取るための行動として「押し倒す」「体を触る」「陰部を押し付ける」などの行動は不適切だと気づき、すぐ止めることができたのではないでしょうか。
ハラスメントは、企業・組織にとって大きな痛手となります。被害者の心や体に大きく傷を残すだけではなく、裁判になれば企業も社会的に大きな傷を負います。
今回の加害者である元上司の隊員3名は、今回の加害行動を「笑いを取るための行動」であると述べ、セクハラや強制わいせつとは認識していないと主張していましたが、裁判では加害者側の「そんなつもりはなかった」は通用しませんでした。
企業や組織は、ハラスメントについて正しい知識を持ち、発生時の正しい初期対応を身につけることで大切な社員を守り、企業を守り、適切な職場環境を維持することにつながります。
【参照元】
NHK「五ノ井さん性暴力訴えた事件 陸自元隊員3人 有罪判決確定」2023年12月27日
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20231227/k10014301161000.html
弁護士ドットコムニュース 「五ノ井さん性被害事件、やはり「笑いをとるため」は言い訳にならないのか?元自衛官3人に有罪判決」2023年12月14日
https://www.bengo4.com/c_1009/n_16898/?
東京新聞TOKYO Web 「セクハラ、パワハラへの感覚がまひ…防衛省はもっと声を上げやすい仕組みを 元陸上自衛官の五ノ井里奈さん訴え【動画あり】」2022年12月23日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/221698
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