昨今「パワハラ」が世間で取り上げられるようになり、仕事シーンにおいて使った厳しい言葉が、部下に「これってパワハラなのでは?」と捉えられてしまうことが増えてきました。
例えば「バカ」という表現。
人格否定となる使い方はもちろんNGですが、叱咤激励や愛情表現だった場合はどうなのか?「バカ」という表現のパワハラ境界線を考えていきたいと思います。
「バカかね?君は」と相手を侮辱したら、パワハラになる?
相手が仕事上のミスや間違った発言をしたときに、
「バカかね?君は」
と、相手を馬鹿にした侮辱のような言い方や、精神的なダメージを与えるような伝え方をした場合はパワハラ行為に該当してしまいます。
『亜人』に登場する生物物理学者、オグラ・イクヤがコウマ陸佐の誤った発言に返した「バカかね?君は」。
漫画のシーンでは爽快でしたが、相手や状況によっては、痛烈な嫌味とも捉えられることもあるので、注意が必要です。
「このバカタレが!!」と叱責したら、パワハラになる?
同じ「バカ」という言葉で叱責する場合でも、大きなミスを犯した部下に対し、思わず怒鳴ってしまった場合は、パワハラにはあたらないと判断されることがほとんどです。
医療漫画「スーパードクターK」の教授が、命に関わる判断ミスを「このバカタレが!!」と叱っているのは、厳しい指導だったと判断されると考えられます。
ただし、注意指導の範囲を超えて、相手の人格や名誉を侵害した場合や、意図的な侮辱と捉えられる発言は、パワハラと認定される可能性もあります。
「バカヤロー」と蹴りながら指導したら、パワハラになる?
もちろん、殴ったり蹴ったりなどの暴力を伴う「バカヤロー」はパワハラに当たります。
いくら悪気がなくても、暴力をふるってはいけません。
厳しい指導はほどほどに…。
「やめんかバカモノ!」と部下を突き飛ばしたら、パワハラになる?
部下を注意喚起する場合、例えば業務上必要かつ相当な範囲を超えているが、その場の安全が優先される場面などは、パワハラと判定されないことがあります。
とはいえ、相手にけがを負わせるような激しい暴力は避けるようにしましょう。
愛情や尊敬を意を込めての「バカ」は、パワハラになる?
無茶をした仲間に怒りから「バカ」と怒鳴っているように見えますが、実は相手への愛情や友情から発しているケース。
相手のことを大切に思うからこそ、愛情や尊敬を込めて発言している場合は、パワハラとは該当されないと考えられます。進撃の巨人で、秘密にしていた力で巨人と戦っているユミルに対して、クリスタが言い放ったセリフはまさに相手を思う気持ちから出たセリフ「何いい人ぶってんだよ!!そんなにかっこよく死にたいのかバカ!!」。
まさに、言葉とは裏腹の友情が感じられますね。
「ケタはずれの大バカヤロウ」は、パワハラになる?
「世の中の常識をぶち壊すのはいつだって、ああいうケタはずれの大バカヤロウなんだ」。
サッカー漫画『DAYS』の柄本つくしが、合宿の階段ダッシュで全力疾走している姿を見たサッカー部キャプテンのセリフです。
常識に縛られず、自分の信じた道を突き進む主人公の才能と行動を認めているからこその発言は、パワハラどころか大いなる賞賛であると言えるかもしれません。
コミックラーニングラーニング編集室からの結論
過度な暴言・行動にはくれぐれもご注意を!
「バカ」という言葉を使った𠮟咤激励は、全てがパワハラに当たるとは限りません。むしろ相手のことを思った発言であることも少なくありません。
ただし、業務の適性な範囲をこえたり、肉体的や精神的に苦痛を与えたりする場合は、悪気がなくても「パワハラ」と判定されることもあります。
行き過ぎた暴言や暴力、侮辱と捉えられかねない言い方、伝え方にはくれぐれも注意し、パワハラと認定されないような表現を心がけましょう。
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